P--1225 P--1226 P--1227 #1領解文    領解文  もろもろの雑行雑修自力のこころをふりすてて、一心に阿弥陀如来、われら が今度の一大事の後生、御たすけ候へとたのみまうして候ふ。たのむ一念のと き、往生一定御たすけ治定と存じ、このうへの称名は、御恩報謝と存じよろ こびまうし候ふ。この御ことわり聴聞申しわけ候ふこと、御開山聖人(親鸞) 御出世の御恩、次第相承の善知識のあさからざる御勧化の御恩と、ありがたく 存じ候ふ。このうへは定めおかせらるる御掟、一期をかぎりまもりまうすべく 候ふ。                        [本願寺釈法如](花押)   [右領解出言の文は、信証院蓮如師の定めおかせらるるところなり。真宗念仏行者、 P--1228  すでに一念帰命、信心発得せる領解の相状なり。このゆゑに古今一宗の道俗、時々仏祖  前にしてこの安心を出言し、みづからの領解の謬りなきことを敬白するなり。しかる  に、そのあひだ後生の一大事を軽忽し、みづからたしかに弥陀をたのみたる一念の領解  もなく、またこの領解文をも記得せざる類あり。あるいは記得し出言しながら、心口各  異にして慚愧せざるのものあり。はなはだ悲歎すべきところなり。こひねがはくは一宗  の道俗、この出言のごとく、一念帰命の本源をあやまらず如実相応して、すみやかに一  大事の往生を遂ぐべきものなり。このゆゑにいまひめおきし蓮師(蓮如)の真蹟を模写  し印刻して、家ごとに伝へ、戸ごとに授けて、永く浄土真宗一味の正意を得せしめんと  思ふものなり。]   [天明七丁未年四月        釈文如これを識す](花押)